France_pan、公式ウェブサイト

2006年度
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『豚とオートバイ』上演不許可のお知らせ、並びにその経緯

先日よりこのウェブサイトや主宰伊藤拓のブログで掲示させて頂いておりました『豚とオートバイ』の上演許可につきまして、既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、日本語翻訳者の熊谷対世志様より正式に不許可の通知を頂きました事をここにお伝えします。公演を期待しておられましたお客様、並びに関係者の皆様方、誠に申し訳ございませんでした。

 

非常に残念な結果ではありますが、この問題の経緯を改めてここに記す事で、自分たちのしてしまった問題を見つめ直し、アーティストとして、そして人間として、芸術を愛する気持ちを持つものや社会に生きる者として、当然知っているべきである様々な事を学ぼうと考えております。

 

尚、この経緯をウェブサイトに載せることに関し、熊谷様から了承を得ております。また、熊谷様自身も「豚とオートバイ」制作日誌と言うブログ上で、上演不許可のご連絡を発表されております。あわせてご覧頂ければ幸いかと存じます。

 

先ず8月22日、『豚とオートバイ』の翻訳者である熊谷様より、France_panのウェブサイトにおいて許可無く『豚とオートバイ』上演告知がされているのでは、との質疑メールを主宰伊藤拓宛にお送り頂きました。これは、私、間屋口克がFrance_pan制作として翻訳者である熊谷対世志氏、並びに原作の李萬喜氏、そして翻訳物出版元であります日韓演劇交流センター様へ上演許可申請を行っていなかったこと、またその事実をFrance_pan内で伝達・共有出来ていなかった事から発生した問題であります。私以外のメンバーは皆上演許可が取れたものだと信じ切っておりました。そして私はこの作品の上演・興行を成功させたいがため、メンバーに嘘を付いて公演を進めさせて、追々正式に上演許可を取ろうとしてしまいました。興行を成功させたいとの一心で、未熟ながら焦る気持ちで大きな過ちを犯してしまったのです。私のとった行為は不躾で失礼極まりないものでした。同時に自分の仲間への裏切り行為に近いものをしてしまいました。このことが発端となり、関係者の皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳ございませんでした。

 

熊谷様からメールが来た際、主宰伊藤は自分の取らなかった行動、取っておかなかった行動を心から後悔しました。何故自分は「豚とオートバイ」を読んで感極まった時、熊谷様宛に手紙を書けなかったのか。自分がそれをしなかったために、このような失礼事が起こってしまったのでは無いのか。そのように伊藤は悩み後悔しました。結果として伊藤は、今まで上演許可を一任していたことなどから、熊谷様への最初の対応を制作である私に任せました。そして初めて熊谷様と電話で話しをした時に、伊藤はFrance_panが全く上演許可申請を行っていなかったと言う事実を初めて知りました。多くのショックを一度に受け、心神喪失に近い状態で熊谷氏との連絡を取り合う事になったせいもあってか、伊藤は結果として熊谷様に的を得ないような、大変失礼なメールを送り続けてしまいました。

 

私は、制作という仕事は、人と人を巡り合わせることが本分であるにも関わらず、それを忘れて、興行結果や評判ばかりに囚われてしまっておりました。その結果として、最悪な形で事を進めてしまいました。お詫びの言葉もございません。

 

こういった経緯は、内部的な事情であり、見苦しいと思われる方もおられると思いますが、今後も芸術活動に携わり、また社会で活動していくに当ってのケジメとして掲載させて頂きました。もちろん、問題の発端は私の浅慮な行動ではありますが、集団としての潜在的問題が顕在化した結果でもありますので、私たち一同、深く反省をしております。

 

当然の事ながら、無許可上演告知をしてしまった私たちに全ての問題があります。真摯な気持ち、筋が全く通っていない行為をしてしまった事を本当に悔んでおります。熊谷氏には大変不快な思いをさせてしまい、また関係者の皆様方にも多大なご迷惑をおかけすることになってしまいました。この様な行為は、決して許されるものではありません。

 

熊谷氏から御連絡があった際、無許可上演に対する浅慮を指摘されると同時に、「公演許可に対する返答は、先ず『作品への熱意』を示して貰った上で判断する」と仰って頂きました。大変失礼な形で出会うことになってしまった私たちに対して、電話やメールを通じ本当に真摯に対応して頂き、私たちに意思表明する機会を与えてくださった熊谷氏には、非常に複雑な気持ちながら、今でも心から感謝しております。

 

ところが、私たちは熊谷氏から「作品への熱意を示して欲しい」と言われたにも関わらず、「どのように興行として成り立たせるか。如何に上演プランとしての魅力を語りうるか」といった点に先走ってしまい、『豚とオートバイ』を読んだ当初の真摯な気持ち、どうしてこの作品を上演したいのか、と言う一番大切な気持ちを伝えることを失念しておりました。興行的側面に囚われた、イベントとしての概要や情報ばかりを綴った「企画書」を何度も熊谷氏にお送りしてしまったのです。私自身、ここでも制作の本分を忘れ、興行成果や評価を求めるあまり、上演許可というビジネスライクな一事から離れることが出来ませんでした。

 

後の祭りではありますが、不本意ながらも『豚とオートバイ』と言う作品、並びに原作者や翻訳者の方々を軽視するような行動を取ってしまった私たちは、作品への率直な想いを作者・翻訳者の方々にお伝えするという、最初に取るべき行動が取れなかったのです。つまり、私たちは上演に向かう最初の段階で躓いていました。本当にお恥ずかしい気持ちと申し訳無さと後悔の念で一杯です。

 

足元を見つめ直す余裕を失った私たちに対して、熊谷氏は何度も様々な形で機会・助言を与えて下さいました。しかし私たちはそれを最後まで活かす事が出来ず(今思えば、何もかも見失ってしまっていたのかもしれません)、結果として上演不許可の連絡を頂きました。もはや、私たちが何かを主張する余地はありませんでした。私たちは自分たちのしてしまった過ちを深く深く反省するのみでした。芸術を志すものとして、そして社会に生きる者として、本当にしてはいけない事をしてしまいました。謝罪してもしきれるものではありません。未熟な意識から、多くの方々にご迷惑をおかけしてしまい、そして多くのものを失いました。

 

私たちが今の状態から立ち直る事は簡単では無いと思います。しかし熊谷氏から送られてきた上演不許可の連絡の末尾にあった「捲土重来を期します」という言葉を現実のものにすべく、今後の活動に全力を尽くしてまいります。

 

関係者の皆様方、重ね重ね本当に申し訳ございませんでした。

 

2006年9月4日 
制作 間屋口克
主宰 伊藤拓
並びFrance_pan一同

 

文責:間屋口克